第7話 お世話になります!

後日、俺の両親と祖母と俺で
その事について話し合った結果、
俺が祖母の家に住んで、そこから大学に通う事となった。

他に、お金を送るので
時々は出入りの庭師を呼んで庭の手入れをしてもらっておく事、
同様に掃除など家の手入れをしておく事、
2階の3部屋が空いているので、
広すぎるようだったら誰か友達と共同で住んでもよい事など、
いろいろ細かな事が取り決められた。

俺は話し合いの後すぐ、
ケイちゃんとユウジの二人に祖母の家の件を電話で話した。
そして3人でユウジの部屋に集まり、俺が詳細を説明した。
二人は俺の話に大変乗り気で、親の了承をすぐに取って来た。

ユウジはすでに社会人だし、
ケイちゃんの家は上の姉さんがすでに店を継いでいるので
話は至極簡単だった。

話が決まると、俺たち3人は祖母の家で挨拶と話し合いをした。
ユウジとケイちゃんの事は、
俺が小さい頃からこの家での会話に何度となく出て来ていたし、
祖母と伯父も実際二人に何度か会っているので
同居人にするには申し分なかった。

部屋割りや家賃の事、大体の家具は置いて行くので、
使えるものは使ってもよい事などが話し合われた。
夕方には伯父も帰って来て夕食を一緒に食べながら、
家具の配置や使わない予定の物の収納について考えた。

俺の部屋は2階の一番奥の部屋で、
現在伯父が寝室としている部屋と決まった。
単純に体の大きな伯父が使っている
大きなベッドをそのまま使えるからである。
机も大きくて俺向きだった。

その部屋の隣がケイちゃんの部屋で、
そこは親父の部屋だった。
親父の独身時代のまま、机もベッドも残っている。

ケイちゃんの部屋の向かいがユウジの部屋で、
今は祖母の部屋であるが、
彼女の使っている縦長の大きな鏡のついた鏡台が
きっと洋服好きな彼の役に立つ事だろう。

使わない家具などは、祖母の部屋の隣、
伯父の部屋の次の間にまとめ置かれる事になった。
そこは前から物置きになっていて、
今でも荷物が置かれてあった。

調理器具や食器類もほとんどそのまま置いて行くとの事で、
俺たちが用意するものは洋服や身の回りの物くらいだった。

その翌日から俺は祖母の家に住み込み、
二人の引っ越しの支度を手伝い、
ユウジとケイちゃんの二人を迎え入れるための準備をした。
同時に俺の荷物も運び入れ、
とりあえず親父の部屋に置いておいた。

親父も土日にはやって来て、
自分の残した荷物をまとめて納戸や物置きにしまった。

その際、母が親父に宛てて書いた熱烈...
いや、強烈なラブレターが出て来て、
親父と母の恋愛時代に話の花が咲いた。

大学の入学式の1週間ほど前に、
俺の家族、新しく同居人になるユウジとケイちゃんで集まり、
祖母と伯父のために送別会を催した。

二人は翌日の午後、
俺と親父に見送られて日本を発った。
パリでおもしろい物があったら送ると、
どこまでも陽気だった。

俺は空港から戻ると、
自分の荷物を伯父の寝室だった部屋に運んで片付けた。
次の日にはユウジとケイちゃんが、
どこかで借りて来た軽トラックに荷物を積んでやって来た。

「お世話になりまーす!」

こうして、俺とユウジとケイちゃん3人での共同生活が始まった。
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