第31話 Meet My Friend

「どうしたの?」

俺が急に道の真ん中で立ち止まったから、
ちひろはびっくりした。

「ちひろ、お前お昼途中だったよな...ごめん。
ちょっと茶でも飲んで休憩しようか」

「そうだね、のどかわいたし」

俺はちひろをケイちゃんのバイト先へ連れて行くことにした。
今の時間ならケイちゃんもいるだろう。
ケイちゃんにちひろを紹介したいと思った。
ケイちゃんがちひろの事を見たいとしきりに言っていたし、
それにケイちゃんはきっとちひろのいい友達になるだろう。

ケイちゃんのバイトしているカフェは住宅街の中にある、
昔線路か川があったと思われる
細長い公園に面するところにあり、
両隣りを洋服屋に挟まれていた。

そのカフェの建物自体、
以前は洋服屋に使われていたとかで、
今もその面影を残していた。

インテリアは焦げ茶と白、
木目を中心としたミッドセンチュリー調でまとまっていた。

「将やん」

店に入ると、
テーブルの上を片付けているケイちゃんが、
俺に声をかけた。

「よっ。売り上げに協力しに来てやったぜ」
「将やん、今夜何食いたい?」
「お前に任せる」

俺は彼がかたづけたばかりの席についた。
ちひろはその向かいに座ることにした。

「ちひろ、これが俺の同居人1、ケイちゃん。
製菓専門学校に通いながらここでバイトしてる」

水が運ばれて来た時、
俺はちひろにケイちゃんを紹介した。
ちひろとケイちゃんはお互いによろしくと言った。
その時、俺はふと思い付いた。

「あ、そうだケイちゃん。
今夜晩飯にこいつ呼んでいい?」

「え、そんな悪いよ」

ちひろはとっさに遠慮した。

「もちろん歓迎するよ!
今夜はユウジも家で晩飯食べるって言ってたし、
俺も友達呼ぼうかな」

「呼べ呼べ! 
こういうのは大勢の方が楽しいに決まってるんだからさ」

ついでにユウジの事もちひろに紹介したい。

ちひろがトイレに行っている間、
ケイちゃんがやって来て、

「あれが噂のちひろちゃんかあ...かわいいじゃん。
で、今日はデート?」

と、冷やかした。

「いや、ちひろ今ちょっと落ち込んでるんだよ。
それを忘れさせようとあちこち連れ回してた」

「事情はわかった。
よし、じゃあ次は俺が帰るまで準備してろ。
いいか、次から次へと用事を言い付けて考える隙を与えるな。
ユウジにも俺が連絡しといてやる、
今日はパーティだ。」

「了解」

さすが持つべきものは友だ。
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